TNRとは、野良猫を傷つけずに、その数を穏やかに減らしていくための取り組みです。それぞれのアルファベットはこういう意味です。
つかまえる
不妊手術をする
元の場所にもどす
猫はとても子どもをたくさん産む動物です。手術をしないでいると、あっという間に数が増えてしまいます。
そして、その子どもたちの多くは……
……などで、つらい思いをしてしまいます。
外で生きてきた猫は人に慣れていないことも多く、無理に保護すると、家の中で強いストレスを感じてしまう場合もあります。
それと、TNRで重要な事ですが、元の場所は、その猫の「縄張り」です。
その猫がそこに居続けてくれることで、他の猫が入りにくくなります。
放っておくと、どんどん増えてしまうからです。
そして増えた結果……
……という問題が起きます。
手術をすると……
🌸 手術を済ませた猫は、耳の先端にV字カットを入れて手術済みの印とします。
このカットが桜の花びらに似ていることから、「さくら耳」と呼ばれています。そして、手術済みの猫を「さくらねこ」と呼びます。
「手術はかわいそう」と思う人もいます。
でも、手術しないまま数が増えた猫たちは……
TNRの話をすると、こんなことを言われることがあります。
その気持ちは、とてもよくわかります。でも、現実はそう簡単ではありません。
まず、外でくらしている猫はとても多いです。
日本全国では、数十万匹〜100万匹以上いるとも言われています。しかも今も、毎年どんどん生まれています。
無理をして引き取った結果、また外に出されてしまう猫もいます。それでは、猫にとってもよくありません。
また、保護施設やボランティアも、すでにいっぱいです。里親を待っている猫がたくさんいて、これ以上受け入れるのが難しい状態です。
全部を飼うことはできない。でも、放っておくと増えてしまう。
そこで考えられたのが TNR です。
という、現実的な方法です。
「全部助ける」ことが難しいからといって、何もしないと、もっと多くの猫が苦しみます。
被害が出ているという事で、そういう声もあるかもしれません。
「問題になるなら、全部いなくしてしまえばいい」という発想です。
猫を追い払っても、しばらくすると別の場所から新しい猫がやってきて、また同じ数になってしまいます。
何度追い払っても、同じことの繰り返しです。
猫がいなくなると、他の種類の動物が増えてしまう問題が起きるかもしれません。
猫の代わりに、こうした動物が入り込んで、あらたな問題を起こすことがあります。
人間には、他の種類の動物を絶滅させる技術と、十分な歴史があります。
もし猫がいなくなったら、
全部なくなってしまいます。それは、あとから気づいても取り戻せません。
TNRは「なくす」のではなく「増やさない」方法です。
TNRは、ちょうどいいバランスを保つ方法です。
TNRは大切な活動ですが、実際には誰にでも簡単にできるものではありません。
いくつかの理由があります。
増えすぎていく猫を見て、「このままでは大変だ」と感じる気持ちがないと、行動にはつながりません。
猫が好きでも、
TNRは、
など、段取りがとても重要です。感情だけでなく、冷静に考える力も必要になります。
手術には費用がかかります。そのため、
といった工夫が必要です。ある程度の余裕や、物事を動かす力も求められます。
知識として知ることは誰でもできますが、実際に行動までできる人は多くありません。
今すぐ何かをしなくても大丈夫です。
むずかしいことを、いきなりやる必要はありません。
かわいそうな猫を助けたい気持ちは大切です。でも、「責任があること」も忘れないでください。
今はまだできなくても、まちの猫のことが気になったとき、TNRという方法があることを思い出してみてください。
猫は、
そのどちらも、本当のことです。
TNRは、その両方の気持ちを大切にしながら、「では、どうするか」を考えた方法です。
排除でもなく、放置でもなく、
向き合うための方法です。